ビッグ・マムを怪物に育てた「最悪の料理人」の真実――『ONE PIECE』シュトロイゼンが物語に残した狂気と謎
ワンピース シュトロイゼンというキャラクターを、単なるビッグ・マム海賊団の「総料理長」として片付けて良いのだろうか。物語が最終局面に突入し、過去の歴史や伏線が次々と回収される中で、彼の存在が持つ「異質さ」が改めてファンの間で激しい議論を呼んでいる。幼少期のシャーロット・リンリン(ビッグ・マム)の前に現れ、彼女の圧倒的な破壊力を利用して海賊団の礎を築いたこの男こそ、新世界を恐怖に陥れた諸悪の根源とも言える人物だからだ。
エルバフでの悲劇を目撃し、泣き叫ぶ少女に「お菓子」を差し出したあの日から、すべての狂気は始まった。多くの読者が四皇の圧倒的な武力に目を奪われがちだが、実はワンピース シュトロイゼンが裏で糸を引かなければ、あの巨大なトットランド帝国は誕生していなかったはずだ。今回は、彼の能力の真の恐ろしさと、未だ明かされていない謎について深く切り込んでいく。
悪夢の始まり:エルバフの惨劇を唯一知る男

マザー・カルメルと子供たちが突然消えたあの日、巨人の島エルバフの片隅で、すべてを目撃していたのが彼だ。凄惨な光景を目にしながらも、恐怖するどころか「これを利用できる」とほくそ笑んだその精神性は、作中でも屈指の異常性を放っている。彼は泣きじゃくる幼いリンリンに近づき、その圧倒的な力を自らの野望のために利用することを決意した。この出会いこそが、のちに世界政府すら恐れる四皇の誕生の瞬間であり、歴史の歯車が大きく狂い始めた起点である。
ククククの実の「真の脅威」と覚醒の可能性

あらゆるものを食材に変える「ククククの実」。一見するとギャグ要素の強い便利能力に思えるが、その本質は極めて恐ろしい。ホールケーキアイランド崩壊の危機に際し、彼は崩れ落ちる巨大な城を本物のスポンジケーキに変え、仲間たちの命を救った。もしこの能力が「覚醒」していたらどうなるか。大地や建物、あるいは敵の武器すらも一瞬で無力化し、文字通り「喰らう」対象へと変貌させる。戦闘における応用力は計り知れず、彼が単なる非戦闘員の料理人ではないことを証明している。
単なる「料理人」か、それとも「稀代の詐欺師」か

シュトロイゼンはリンリンを「おだて、操り、怪物へと育て上げた」。彼は彼女の母親代わりであり、同時に最悪のプロデューサーでもあった。リンリンが抱く「全種族が同じ目線で暮らせる国」という歪んだ理想も、元を正せばシュトロイゼンが彼女の機嫌を損ねないために与えた都合の良いファンタジーに過ぎないのではないか。彼女の圧倒的な力を盾に、自らは安全な影から世界を揺るがす快感に浸っていたのだとすれば、彼の邪悪さは他のどの海賊よりも底知れない。
ビッグ・マム失脚後のシュトロイゼンの行方
ワノ国での戦いでビッグ・マムが敗北し、マグマの底へと沈んだ今、トットランドとビッグ・マム海賊団は事実上の崩壊状態にある。しかし、この混乱の中でシュトロイゼンがどう動いたのかは未だ描かれていない。老齢とはいえ、彼の知略と情報網は健在だ。主を失った今、彼は新たな「怪物」を探しているのだろうか。あるいは、かつて集めた膨大な富と食材を手に、世界の混沌を特等席で見物しているのかもしれない。
ロックス海賊団との繋がりを示す隠されたタイムライン
時系列を整理すると、シュトロイゼンとリンリンが海賊団を結成した後、彼女はロックス海賊団に加入している。つまり、シュトロイゼンもまた、あの伝説のロックス海賊団の結成や活動に何らかの形で関与していた可能性が極めて高い。ゴッドバレー事件の真実や、ロックス・D・ジーベックの野望を、彼は間近で見ていたのではないか。歴史の闇に葬られた「最強の海賊団」の裏事情を知る生き証人として、彼の口から語られるべき真実はまだ残されている。
歪んだ「夢」の終着点:彼が本当に欲しかったもの
彼は金が欲しかったのか、それとも名声か。おそらくそのどちらでもない。シュトロイゼンが求めたのは、己の創り出した「作品」が世界を蹂躙する様を特等席で眺めることだったのだろう。リンリンという制御不能の怪物を飼い慣らし、世界政府や他の四皇と渡り合う姿こそが、彼の料理人としての、そして悪党としての最高傑作だったのだ。物語の終幕に向けて、この「最悪の仕掛け人」が最後にどのような表情を見せるのか、私たちは見届ける必要がある。 (出典: ワンピース シュトロイゼン(Yahoo!ニュース))